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特集 わが国の若手による統合失調症研究最前線
ポリジェニックリスクスコアを用いた統合失調症研究
Schizophrenia Research using Polygenic Risk Scores
大井 一高
1
Kazutaka Ohi
1
1岐阜大学大学院医学系研究科精神医学
1Department of Psychiatry, Gifu University Graduate School of Medicine, Gifu, Japan
キーワード:
統合失調症
,
schizophrenia
,
中間表現型
,
intermediate phenotype
,
ポリジェニックリスクスコア
,
polygenic risk score
,
全ゲノム関連解析
,
genome-wide association study
Keyword:
統合失調症
,
schizophrenia
,
中間表現型
,
intermediate phenotype
,
ポリジェニックリスクスコア
,
polygenic risk score
,
全ゲノム関連解析
,
genome-wide association study
pp.403-409
発行日 2023年4月15日
Published Date 2023/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206886
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抄録
統合失調症は,臨床的・遺伝的に異種性を呈する精神疾患である。その異種性を軽減するために認知機能,脳構造などが中間表現型として注目されている。全ゲノムにわたり多数の遺伝子多型(SNP)を同時に調べる大規模全ゲノム関連解析(GWAS)が,これまでにさまざまな精神疾患や中間表現型で行われ,多数の関連ゲノム座位が同定されている。しかし,同定された各SNPが精神疾患や中間表現型に及ぼす効果は非常に弱い。一方,より強く表現型と関連するSNPの同定を試みるGWASに対して,ポリジェニックリスクスコア(PRS)解析では,大規模GWASにおける全ゲノムにわたるSNP情報を利用して多くのSNPの相加効果をPRSとして算出し,SNP個々よりも高い割合で精神疾患や中間表現型にかかわる遺伝構造を説明できることが示されている。さらにPRSは,統合失調症のリスクや,統合失調症と精神疾患間や中間表現型間の遺伝的基盤の共通性の検討が可能である。本稿では,PRS解析を用いた筆者らの統合失調症研究結果について紹介する。
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