特集 ウイルス性肝炎を見直す
5.小児の原因不明肝炎
-――国内と海外における特徴の比較
大竹 正悟
1
,
池上 千晶
1
,
島田 智恵
1
,
砂川 富正
1
1国立感染症研究所実地疫学研究センター
キーワード:
急性肝炎
,
急性肝不全
,
アデノウイルス
,
新型コロナウイルス感染症
Keyword:
急性肝炎
,
急性肝不全
,
アデノウイルス
,
新型コロナウイルス感染症
pp.35-41
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002448
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2022年4月以降,世界各国で小児の原因不明肝炎症例の発生が続いたことを受け,世界保健機関(WHO)は暫定症例定義を満たす症例を報告するように依頼した.世界では7月8日時点で1,010例がWHOに報告され,わが国からは10月20日時点で112例が報告された.わが国の症例は海外諸国と比較し重症例が少なく,肝移植を要した患者は1例,死亡例の報告はない.また,海外諸国で多く検出されているアデノウイルスの割合も少ない.この違いの理由としては症例定義の違い,アデノウイルスの流行状況の違い,遺伝子型の違いの3点の可能性が考えられる.本事例の原因はまだ特定されておらず,今後も報告数の推移に注目する必要がある.
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