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第1土曜特集 遺伝性神経・筋疾患――診療と研究の最前線
ミオパチー,筋ジストロフィーの病態・診断・治療法開発
ここまでわかった眼咽頭型筋ジストロフィーの病態と治療戦略
Recent progress in pathogenesis and therapeutic strategy of oculopharyngeal muscular dystrophy
山下 賢
1
,
村井 弘之
1
Satoshi YAMASHITA
1
,
Hiroyuki MURAI
1
1国際医療福祉大学成田病院脳神経内科
キーワード:
眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)
,
poly(A)binding protein nuclear 1(PABPN1)遺伝子
,
トリプレットリピート病
,
毒性獲得
,
機能喪失
Keyword:
眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)
,
poly(A)binding protein nuclear 1(PABPN1)遺伝子
,
トリプレットリピート病
,
毒性獲得
,
機能喪失
pp.939-943
発行日 2022年12月3日
Published Date 2022/12/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28310939
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眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)は高齢発症の遺伝性筋疾患であり,緩徐進行性に眼瞼下垂や嚥下障害,四肢近位筋の筋力低下を発症する.本症の原因は,poly(A)binding protein nuclear 1(PABPN1)遺伝子のエクソン1領域でのGCNリピート配列の異常伸長である.筋外症状として認知症や遂行機能障害,末梢神経障害を合併することもあり,多臓器障害を伴う全身性疾患の可能性がある.診断には筋病理あるいは遺伝子検査が必要であるが,骨格筋MRIやエコーによる補助診断が進歩している.病態メカニズムとして,筋核における毒性獲得あるいは機能喪失,細胞質における毒性獲得により筋原タンパク・mRNAの減少,細胞周期・筋分化の障害,筋萎縮促進,ミトコンドリア障害などが関与し,病態に基づいた治療戦略が検証されている.本疾患のような希少疾患の治療開発には,国際協調に基づく患者レジストリなどの基盤構築が重要である.
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