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第1土曜特集 遺伝性神経・筋疾患――診療と研究の最前線
ミオパチー,筋ジストロフィーの病態・診断・治療法開発
眼咽頭遠位型ミオパチー
-――明らかになった原因遺伝子と病態
Oculopharyngodistal myopathy
江浦 信之
1,2
,
西野 一三
1
Nobuyuki EURA
1,2
,
Ichizo NISHINO
1
1国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部
2奈良県立医科大学脳神経内科
キーワード:
眼咽頭遠位型ミオパチー(OPDM)
,
遺伝学的背景
,
CGGリピート伸長
Keyword:
眼咽頭遠位型ミオパチー(OPDM)
,
遺伝学的背景
,
CGGリピート伸長
pp.934-938
発行日 2022年12月3日
Published Date 2022/12/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28310934
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眼咽頭遠位型ミオパチー(OPDM)は進行性の眼瞼下垂,眼球運動制限,嚥下障害,四肢遠位優位の筋力低下をきたす遺伝性筋疾患である.1977年にわが国からはじめて症例報告がなされた後,長らく原因遺伝子は不明であったが,2019年以降,わが国から報告されたLRP12を端緒として,GIPC1,NOTCH2NLC,RILPL1の非翻訳領域におけるCGGリピート伸長がOPDMの原因であることが同定された.いずれの遺伝子異常においても,臨床病理学的特徴や “非翻訳領域におけるCGGリピート伸長” という遺伝学的背景が共通しており,同じ病態機序が存在すると考えられている.これまで,リピート伸長に伴うRAN翻訳を介したタンパク毒性やRNA毒性が病態メカニズムとして提唱されているが,いまだ確立したものはない.本稿では,近年明らかになったOPDMの遺伝学的背景やそれに基づく病態仮説,臨床病理学的な特徴を概説する.
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