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第1土曜特集 遺伝性神経・筋疾患――診療と研究の最前線
ミオパチー,筋ジストロフィーの病態・診断・治療法開発
GNEミオパチー
-――病態解明と治療の最前線
Recent advances and challenges in the field of GNE myopathy
吉岡 和香子
1
Wakako YOSHIOKA
1
1国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部
キーワード:
GNEミオパチー(縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー)
,
合併症
,
シアル酸補充療法
,
遺伝子治療
,
レジストリ
Keyword:
GNEミオパチー(縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー)
,
合併症
,
シアル酸補充療法
,
遺伝子治療
,
レジストリ
pp.944-949
発行日 2022年12月3日
Published Date 2022/12/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28310944
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GNEミオパチー(縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー)は,常染色体潜性の遺伝形式をとる成人発症の筋疾患である.GNE遺伝子変異によりシアル酸生合成が低下し,筋萎縮や筋線維変性を引き起こすと考えられ,モデルマウスではシアル酸補充療法の有効性が示された.これを受け,国内外で臨床試験が行われた.シアル酸徐放錠の国際共同第Ⅱ相試験では治療群で上肢筋力の維持を認めたが,第Ⅲ相試験では有意差が確認できず,海外では残念ながら開発が中止された.一方,国内第Ⅱ/Ⅲ相試験は現在承認を目指し解析中である.N-アセチルマンノサミンやシアリル乳糖を用いた臨床試験も実施されており,さらには抗酸化剤や遺伝子治療など,シアル酸補充療法とは異なる治療法の開発研究も行われている.また国内神経・筋疾患患者登録(Remudy)は開始後10年が経過し,骨格筋以外の症状や妊娠・出産合併症の実態解明も促進されてきた.本稿では,治療できる筋疾患に変貌を遂げつつあるGNEミオパチーについて,最新の研究成果とともに紹介する.
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