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特集 心筋炎――医療と医学の最前線
心筋炎と免疫応答
Immune response in myocarditis
安斉 俊久
1
Toshihisa ANZAI
1
1北海道大学大学院医学研究院循環病態内科学教室
キーワード:
心筋炎
,
免疫応答
,
T細胞
,
樹状細胞
,
ウイルス
Keyword:
心筋炎
,
免疫応答
,
T細胞
,
樹状細胞
,
ウイルス
pp.993-997
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28211993
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心筋炎は,何らかの外来抗原(ウイルス,細菌,寄生虫,毒物,薬剤など)や自己抗原に対する免疫応答によって心筋に炎症が生じる病態であり,過剰な免疫応答により自己の心筋が破壊されると,急性心不全や致死性不整脈を発症する.多くの場合,免疫応答は収束し,自然治癒に至るが,心筋傷害が高度な場合やウイルス感染の慢性化,自己免疫応答の遷延化などにより,慢性心不全に移行し,拡張型心筋症様の病態を呈する.しかし,免疫応答が拡大・遷延するかどうかは各種病原体の細胞指向性に加えて,ホスト側の要因,環境因子などさまざまなものによって規定される.また,免疫応答には心臓局所のみならず骨髄や脾臓など全身臓器が関与する.ウイルス性心筋炎における免疫応答は単球,マクロファージを主体とした自然免疫に引き続き,樹状細胞によるウイルス抗原ならびに心筋自己抗原の提示によって惹起される獲得免疫により遷延・拡大すると考えられている.
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