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第1土曜特集 二次性心筋症──Present and Future
収縮不全を主徴とする二次性心筋症
炎症性心筋症と慢性心筋炎
Inflammatory cardiomyopathy and chronic myocarditis
奥村 貴裕
1
Takahiro OKUMURA
1
1名古屋大学医学部附属病院重症心不全治療センター同循環器内科
キーワード:
炎症性(拡張型)心筋症
,
慢性心筋炎
,
心筋炎後心筋症
,
リモデリング
Keyword:
炎症性(拡張型)心筋症
,
慢性心筋炎
,
心筋炎後心筋症
,
リモデリング
pp.394-399
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27705394
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心筋炎は,心筋組織に炎症を生じる疾患である.病理学的には,炎症細胞の浸潤と心筋の変性および壊死を示す.急性心筋炎は,主にウイルス感染や自己免疫を契機に発症し,一部では重篤な劇症型の経過をたどる.一方,慢性的な心筋の炎症を認めるケースもあり,わが国を中心に,慢性心筋炎(chronic myocarditis)の概念が提唱されている.しかし欧米では,この用語の使用に否定的な見解も多い.ところが,拡張型心筋症のなかに持続的な心筋炎症所見を有する症例があることも明らかとなっており,炎症性(拡張型)心筋症〔inflammatory(dilated)cardiomyopathy〕の概念も提唱されている.通常の拡張型心筋症より不良な転帰をたどる可能性が指摘されている.さらには,心筋炎発症後のリモデリングから心筋症に至るケースを心筋炎後心筋症(post-myocarditis cardiomyopathy)と表現されることもある.これらの概念は複雑にオーバーラップしており,疾患概念の整理と病態および治療法の確立が求められている.
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