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特集 精神・神経疾患とω3不飽和脂肪酸
アルツハイマー病による認知症とω3不飽和脂肪酸
The efficacy of ω3 polyunsaturated fatty acid on cognitive decline and behavioral and psychological symptoms of dementia in Alzheimer’s disease
上原 隆
1
Takashi UEHARA
1
1金沢医科大学医学部精神神経科学
キーワード:
アルツハイマー病(AD)
,
認知機能
,
認知症の行動・心理症状(BPSD)
Keyword:
アルツハイマー病(AD)
,
認知機能
,
認知症の行動・心理症状(BPSD)
pp.749-751
発行日 2022年8月20日
Published Date 2022/8/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28207749
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魚油などに多く含まれるω3不飽和脂肪酸(以下,ω3)がアルツハイマー病(AD)予防に有効であることが示されてから,高齢者の認知機能低下に対するω3の効果についての研究が盛んに行われてきている.その有効性は投与時期(発症前か発症後か)やアポリポタンパクEε4(ApoEε4)保有に左右されるようである.一方,認知症の行動・心理症状(BPSD)は認知症患者にとって必要なサポートを妨げ,介護者のストレスを増大する.一般的には向精神薬が用いられるが,十分な効果が得られないケースが多い.BPSDに対するω3の効果に関する知見はまだほとんどない.近年,統合失調症やうつ病などの精神疾患に対するω3投与の効果についての知見が蓄積されつつあり,BPSDにも治療効果が期待される.今後,この領域の研究が進むことで,BPSDに対する薬物療法の可能性が広がるものと思われる.
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