Japanese
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第1土曜特集 五感を科学する――感覚器研究の最前線
触覚
痒みの治療と創薬
Treatments and drug discovery for pruritus
入江 浩之
1
,
椛島 健治
1
Hiroyuki IRIE
1
,
Kenji KABASHIMA
1
1京都大学大学院医学研究科皮膚科学講座
キーワード:
痒み
,
アトピー性皮膚炎(AD)
,
痒みメディエーター
,
感覚神経
,
創薬
Keyword:
痒み
,
アトピー性皮膚炎(AD)
,
痒みメディエーター
,
感覚神経
,
創薬
pp.699-706
発行日 2022年8月6日
Published Date 2022/8/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28206699
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慢性的に持続する異常な痒みは皮膚の炎症やバリア障害に加え,睡眠障害などをももたらし,生活の質を著しく低下させる.そのため,痒みの治療は健康を保つうえで非常に重要な役割を持つ.以前は痛みの弱い感覚が痒みであると考えられていたが,痒み特異的神経の発見や感覚神経細胞の遺伝子発現解析などから,痒みが生じる複雑な経路が徐々に明らかになりつつある.病態ごとの痒みの機序が理解されるようになるとともに創薬の進歩も加わり,これまで制御困難であった痒みに対しても効果的な治療が望める時代に入った.本稿では,現在までに明らかにされている痒みの機序を,痒みメディエーターの観点,およびそれを感知し伝達する神経系の観点から述べる.そのうえで,痒みの改善に働く薬剤がそれぞれどの点に作用し効果を発揮しているのかを解説し,今後の創薬の展望を述べる.
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