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特集 痒みはどこまでわかったか――痒み研究の最前線
脊髄における痒み伝達機構
Spinal circuit for itch
歌 大介
1
Daisuke UTA
1
1富山大学学術研究部薬学・和漢系応用薬理学研究室
キーワード:
痒み
,
脊髄
,
グルタミン酸
,
ガストリン放出ペプチド(gastrin-releasing peptide:GRP)
Keyword:
痒み
,
脊髄
,
グルタミン酸
,
ガストリン放出ペプチド(gastrin-releasing peptide:GRP)
pp.1129-1133
発行日 2022年9月24日
Published Date 2022/9/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu282131129
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痒みは,皮膚や粘膜を引っ搔きたいという衝動を引き起こす不快な感覚である.痒みの生理的意義・役割は依然不明な点はあるものの,皮膚に異物が付いた際に痒みを感じることにより,その異物を引っ搔いて取り除く生体防御反応のひとつであると考えられている.その一方で,皮膚疾患(アトピー性皮膚炎,乾癬など)の多くは痒みを伴い,慢性搔痒に伴う搔破により皮膚炎症が悪化し,さらに痒みが強くなるという悪循環を生じ,生活の質の著しい低下を招く.しかし,慢性搔痒に対する有効な治療薬はない.そのため,痒みのメカニズム解明と治療薬の開発はきわめて重要な課題である.痒み研究は行動薬理学的研究を主体に,末梢を中心にメカニズム解析が進んできた.しかし2000年代に入り,痒みを特異的に伝達する神経伝達物質とその受容体が脊髄後角で発見され,中枢での研究が近年急速に進んでいる.本稿では,感覚情報の入口である脊髄後角に焦点を当て,痒みの情報伝達やその制御機構について概説していく.
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