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第1土曜特集 五感を科学する――感覚器研究の最前線
触覚
痒みの一次感覚神経サブセット
Itch-transmitting primary sensory neuronal subsets
岡田 峰陽
1
Takaharu OKADA
1
1国立研究開発法人理化学研究所生命医科学研究センター
キーワード:
痒み
,
一次感覚神経
,
一細胞トランスクリプトーム
,
サイトカイン
Keyword:
痒み
,
一次感覚神経
,
一細胞トランスクリプトーム
,
サイトカイン
pp.695-698
発行日 2022年8月6日
Published Date 2022/8/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28206695
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異物排除のために重要と考えられる痒みは,一方で,皮膚炎などの疾患では増悪因子となる.痒みのメカニズムには根本的な謎が多く残されているが,皮膚の異常に伴う痒みについては,最近急激に解明が進んでいる.なかでも,皮膚組織内の一次感覚神経については,一細胞トランスクリプトーム解析の発展により,その分子レベルでの多様性が明らかにされつつあり,痒みの伝達に特化していると考えられる種類もみつかっている.また,ヒスタミンなどの古典的な起痒物質に依存せず,痒みを誘導する受容体経路が解明されはじめている.特筆すべきは,痒みの伝達を担うとされる種類の神経が,アレルギー炎症に関わる免疫系のサイトカインシグナルを直接感知し,活性化されることがわかってきたことである.さらに,皮膚への機械刺激が惹起する痒みは,化学刺激が惹起する痒みとは異なる神経サブセットによって伝達されることも明らかになりはじめている.今後,痒みを伝達する多様な一次感覚神経の機能をさらに詳しく解明していくことにより,皮膚の異常に伴う痒みを制御する戦略が成熟していくと期待される.
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