Japanese
English
特集 最近のトピックス1995 Clinical Dermatology 1995
II 皮膚疾患の病態
痒みのメカニズム
Neural mechanism of itch
内田 さえ
1
,
佐藤 昭夫
1
Sae UCHIDA
1
,
Akio SATO
1
1東京都老人総合研究所自律神経部門
1Department of the Autonomic Nervous System, Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology
キーワード:
痒み
,
ヒスタミン
,
瘙痒誘起物質
,
求心性C線維
,
神経機序
Keyword:
痒み
,
ヒスタミン
,
瘙痒誘起物質
,
求心性C線維
,
神経機序
pp.43-48
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901511
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
痒みには,皮膚・粘膜の炎症による末梢性の痒みと,精神的要因による中枢性の痒みがある.末梢性の痒みを起こす化学物質の代表であるヒスタミンは感覚神経末端のH1レセプターを介して痒みを起こす.ヒスタミン以外にペプチダーゼ,プロスタグランジン,セロトニンなども痒みに関与する.痒みは主に皮膚神経の求心性C線維により脊髄へ伝達される.この情報は脊髄内の前外側索を上行して,視床,大脳皮質感覚野へと連絡するらしい.痒みの神経機序を説明する主な説として特殊説,強度説,選択説,パターン説がある.これまでの末梢神経生理学的研究の成績は,侵害受容性線維の一部が痒みを伝達し侵害性情報とは異なる中枢内連絡で中枢ニューロンを興奮させるとする選択説を支持する.痒みは鍼や経皮電気刺激治療法(TENS),冷刺激,オピオイド拮抗薬であるナロキソンにより抑制される.これらの結果は,痒みに対する抑制系の存在,脳内オピオイド系の関与を示唆する.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.