Japanese
English
特集 痒みはどこまでわかったか――痒み研究の最前線
痒み対策と治療法
-――アトピー性皮膚炎を中心に
Itching measures and treatments
室田 浩之
1
Hiroyuki MUROTA
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学
キーワード:
アトピー性皮膚炎(AD)
,
生活指導
,
局所治療
,
全身治療
,
光線治療
Keyword:
アトピー性皮膚炎(AD)
,
生活指導
,
局所治療
,
全身治療
,
光線治療
pp.1135-1138
発行日 2022年9月24日
Published Date 2022/9/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu282131135
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
痒みはアトピー性皮膚炎(AD)の主要症状のひとつであり,患者のQOLを大きく損なう.本来,痒みは皮表に接する危機から逃れるために備わった感覚である.痒みに対して引っ搔く行動は皮表に曝された危機の排除に役立つ.さらなる脅威の曝露に備えるため,搔破の刺激を受けた表皮は危険に曝されていることを免疫系に伝達するためにdanger signalを発する.そのシグナルによって搔破部にリクルートされたTh2細胞は,IL-31やIL-4を産生することで搔破部局所のTh2型炎症とさらなる痒みを誘発する.Th2型炎症とその慢性化によって痒み過敏が生じ,温熱,発汗,衣類による摩擦などで痒みが増悪するようになる.ドライスキンや炎症に伴う起痒物質,末梢神経の形態変化,表皮ホメオスタシスの変調は,痒み過敏を助長する.プラセボ・ノセボ効果や心理的側面も痒み過敏に大きな影響を与える.このようにADの痒み治療には多角的アプローチが求められる.本稿では,ADの痒みに対する薬物治療とその応用について解説する.
Copyright © 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.