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特集 選択肢の増えたAD治療薬
研究
痒みを伝える皮膚感覚神経の多様性
The diversity of skin sensory nerves transmitting itch
岡田 峰陽
1
Takaharu Okada
1
1国立研究開発法人理化学研究所生命医科学研究センター組織動態研究チーム
1Lab for Tissue Dynamics, RIKEN Center for Integrative Medical Sciences
キーワード:
感覚神経
,
シングルセルトランスクリプトーム
,
IL-31
,
痒み誘導物質
,
機械刺激
Keyword:
感覚神経
,
シングルセルトランスクリプトーム
,
IL-31
,
痒み誘導物質
,
機械刺激
pp.1044-1048
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000003975
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●皮膚には多くの種類の感覚神経線維が存在するが,それらの細胞体は後根神経節や三神経節に存在する.これらの感覚神経は二股に分かれた軸索をもち,片方は皮膚に,もう片方は中枢神経系に投射している.後根神経節や三神経節のシングルセルトランスクリプトーム解析は,痒みを含むさまざまな感覚を伝える感覚神経の多様性の解明に寄与している.
●マウス皮膚には,ヒスタミンやIL-31などの内在性の化学物質や,クロロキンなどの外来の化学物質によって誘導される痒みを伝達する感覚神経が,大まかに分けて3種類存在し,すべて無髄神経である.これらの無髄神経は,痒み誘導物質の受容体を発現しており,3種類それぞれにおいて発現する受容体の種類や量が異なる.
●マウス皮膚では,機械刺激によって誘導される痒みは,有髄神経の一部が伝達すると提唱されている.無髄神経も機械刺激の痒みを伝達するという報告があるが,無髄神経は機械刺激の痒みには必要ないという報告もある.
●ヒトにおいても,痒み誘導物質の受容体を発現する感覚神経が数種類存在し,マウスの3種類の痒み伝達無髄神経と一部類似した遺伝子発現パターンを示す.しかしながら,ヒトとマウスで異なる部分も大きい.ヒトではマウスと比べて,より多くの種類の感覚神経にIL-31受容体が発現していることが示唆され,ヒト皮膚疾患の瘙痒におけるIL-31の重要性を裏づける可能性がある.ヒトでは,機械刺激の痒みを伝達する神経の種類については,まったくわかっていない.
(「ポイント」より)
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