Japanese
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第1土曜特集 五感を科学する――感覚器研究の最前線
聴覚
人工内耳の進歩
Advances in cochlear implantation
山本 典生
1
Norio YAMAMOTO
1
1京都大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
キーワード:
遺伝子検査
,
両耳装用
,
残存聴力活用型人工内耳
,
IGF1
,
完全埋め込み型人工内耳
Keyword:
遺伝子検査
,
両耳装用
,
残存聴力活用型人工内耳
,
IGF1
,
完全埋め込み型人工内耳
pp.669-676
発行日 2022年8月6日
Published Date 2022/8/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28206669
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根本的な治療法がない高度あるいは重度感音難聴患者がコミュニケーション能力を取り戻すためのデバイスとして,人工内耳は大きな成功をおさめている.現在も機器の発展は続いており,病態に合わせてさまざまな形状の電極が適用され,体外機による音声のフロントエンド処理,MRIへの対応,外部音源との接続などが実現されている.機器の発展とともに,近年は対象患者の年齢,聴力に関する適応拡大や両耳聴のメリットを生かすための両側装用も行われている.一方,人工内耳にはいまだに限界もあり,蝸牛神経機能の低下がある場合には十分な効果を得られず,聴力温存を目指した低侵襲手術の際に聴力の悪化もみられる.このような限界を克服し術後成績を向上させるため,多能性幹細胞や成長因子を用いた蝸牛神経や有毛細胞の再生,保護方法が研究されたり,圧電素子やオプトジェネティクスを用いた新しいコンセプトの人工内耳が開発されたりしている.
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