Japanese
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第1土曜特集 基盤病態としての慢性炎症
精神疾患と炎症応答
Mental disorder and inflammatory response
谷口 将之
1
,
古屋敷 智之
1
Masayuki TANIGUCHI
1
,
Tomoyuki FURUYASHIKI
1
1神戸大学大学院医学研究科薬理学分野
キーワード:
炎症
,
ミクログリア
,
ストレス
Keyword:
炎症
,
ミクログリア
,
ストレス
pp.2-8
発行日 2022年7月2日
Published Date 2022/7/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu282012
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近年,大うつ病性障害や統合失調症などの精神疾患の病態生理において炎症応答の関与が注目されている.統合失調症や大うつ病性障害などの精神疾患では全身性に炎症応答が誘導されていることが報告され,これらの炎症応答が神経機能を変化させ,精神疾患病態を誘導することが示唆されている.また,疾患ゲノム研究からも炎症関連分子が関与することが報告された.最近の精神疾患のモデル動物からの知見では,ストレスなどの環境要因が骨髄からのミエロイド系細胞を動員し,末梢で炎症応答を誘導すること,脳内の免疫担当細胞であるミクログリアを活性化し病態に関わる脳機能変化を誘導することが示された.また,これらの免疫応答を増強・維持するメカニズムとして転写・エピゲノムが報告され,精神疾患との関与が示唆される.今後,細胞種特異的な多階層のオミクス解析や,シングルセル解析などにより,精神疾患における炎症の分子実体が解明され,精神疾患の新たなバイオマーカーや創薬標的の提言につながることが期待される.
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