特集 神経免疫:多発性硬化症、脳虚血、アルツハイマー病、精神疾患における炎症反応と免疫異常
脳虚血疾患における免疫細胞の役割と新規治療戦略
七田 崇
1
,
吉村 昭彦
1慶応義塾大学 医学部微生物免疫学教室
キーワード:
Interferon Gamma
,
Interleukin-10
,
脳虚血
,
脳梗塞
,
マクロファージ
,
T細胞
,
ガンマ-デルタT細胞抗原受容体
,
ミクログリア
,
Interleukin-17
,
Toll-Like Receptors
,
調節T細胞
,
Fingolimod
,
Interleukin 23
Keyword:
Fingolimod Hydrochloride
,
Brain Ischemia
,
Interferon-gamma
,
Macrophages
,
T-Lymphocytes
,
Microglia
,
Receptors, Antigen, T-Cell, gamma-delta
,
Interleukin-10
,
Interleukin-17
,
Brain Infarction
,
Toll-Like Receptors
,
T-Lymphocytes, Regulatory
,
Interleukin-23
pp.1036-1041
発行日 2011年9月22日
Published Date 2011/9/22
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近年,脳虚血に伴う炎症反応におけるT細胞の重要性が示唆されている.筆者らは,IL-17産生性γδT細胞が脳梗塞亜急性期の炎症と梗塞巣の拡大に寄与することを発見した.脳梗塞の早期に脳内に浸潤したマクロファージは,IL-23を産生し,遅れて亜急性期に浸潤するγδT細胞からIL-17産生を誘導する.IL-23やIL-17は,脳内で炎症性因子の発現を促進して脳梗塞巣の拡大に寄与している.また逆に,抑制性T細胞(Treg)はIL-10を産生して炎症反応を抑制する.一方,脳内のマクロファージであるミクログリアは,神経保護因子を放出して神経細胞のアポトーシスを抑制する可能性が示唆される.炎症性T細胞の機能を抑制する新たな神経保護療法の開発が期待される.
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