Japanese
English
第1土曜特集 基盤病態としての慢性炎症
筋疾患と慢性炎症
Muscle disease and chronic inflammation
吉本 由紀
1
,
大石 由美子
1
Yuki YOSHIMOTO
1
,
Yumiko OISHI
1
1日本医科大学大学院医学研究科代謝・栄養学分野
キーワード:
骨格筋再生
,
マクロファージ
,
筋ジストロフィー
,
サルコペニア
Keyword:
骨格筋再生
,
マクロファージ
,
筋ジストロフィー
,
サルコペニア
pp.43-48
発行日 2022年7月2日
Published Date 2022/7/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2820143
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慢性炎症はさまざまな疾患の病態に関与している.骨格筋疾患においても,他の組織と同様に,組織内外における慢性炎症によって骨格筋機能が障害される.骨格筋は運動器において中心的な役割を果たし,われわれが日常生活を営むうえでその健常性の維持は必須である.幸いなことに,骨格筋は筋線維を形成することができる筋衛星細胞(サテライト細胞)を組織内に有するために,損傷後速やかに再生することができる.一方で,筋疾患においてはこのシステムが破綻することが問題となる.骨格筋の疾患は,希少疾患で難病指定されている筋ジストロフィーから,サルコペニアのような日常的なものまで含まれるが,どの病態においても炎症細胞が関与している.特にマクロファージは疾患下において炎症の亢進や収束だけでなく,サテライト細胞や間葉系間質細胞(FAP)といった骨格筋固有の細胞の機能を変えてしまうことでも,病態悪化に加担していることがわかってきている.本稿では,骨格筋病態とそのなかでの細胞同士の相互作用,つまり細胞社会の概念を念頭におきつつ,最近の知見についてご紹介したい.
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