Japanese
English
第1土曜特集 基盤病態としての慢性炎症
腎臓病と慢性炎症
Local and systemic effect of chronic inflammation in kidney diseases
谷口 圭祐
1
,
好川 貴久
1
,
柳田 素子
1,2
Keisuke TANIGUCHI
1
,
Takahisa YOSHIKAWA
1
,
Motoko YANAGITA
1,2
1京都大学大学院医学研究科腎臓内科学
2京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点(ASHBi)
キーワード:
慢性腎臓病(CKD)
,
慢性炎症
,
三次リンパ組織(TLT)
,
inflammaging
Keyword:
慢性腎臓病(CKD)
,
慢性炎症
,
三次リンパ組織(TLT)
,
inflammaging
pp.32-37
発行日 2022年7月2日
Published Date 2022/7/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2820132
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慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全(ESKD)だけでなく心血管疾患や全死亡のリスクであり,その病態解明と治療開発が急務である.CKDでは原疾患によらず腎臓において慢性炎症を認め,組織障害と線維化が進行する.これには免疫細胞の持続的な活性化のみならず腎実質細胞が炎症性の形質を獲得することが影響しており,治療対象として注目されている.またCKDでは,腎臓に加えて他臓器の変化が全身性の慢性炎症を惹起し,心血管疾患や死亡のリスクを高めている.加えて,加齢に伴う自然免疫の活性化,細胞老化,免疫老化などによって生じる慢性炎症(inflammaging)がCKDに関与していることも指摘されている.近年筆者らは,高齢個体において腎障害後に三次リンパ組織(TLT)が形成され,炎症を遷延させ,CKD進展の一因となる可能性があることや,免疫老化がその形成に寄与することを見出した.CKDの進行抑制には慢性炎症の病態解明が重要であると考えられ,今後さらなる研究の発展が期待される.
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