免疫性神経疾患 新たな治療戦略に向けて
代表的な中枢神経の自己免疫疾患 多発性硬化症の病態と病理
中原 仁
1
1慶応義塾大学 医学部総合医科学研究センター
キーワード:
樹状細胞
,
食作用
,
脱髄疾患
,
多発性硬化症
,
オリゴデンドログリア
,
マクロファージ
,
自己免疫
,
臨床試験
,
T細胞
,
細胞死
,
Alemtuzumab
,
病態生理
Keyword:
Demyelinating Diseases
,
Dendritic Cells
,
Clinical Trials as Topic
,
Macrophages
,
Oligodendroglia
,
Multiple Sclerosis
,
Phagocytosis
,
T-Lymphocytes
,
Autoimmunity
,
Cell Death
pp.762-767
発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010193460
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多発性硬化症(MS)の原因はいまだ不明である。MSの病態に免疫反応が関与することは病理学的にも確実である。しかしそれがMSの原因であるか否かについては結論が出ていない。MSの発病機序として自己免疫説とオリゴデンドログリオパチー説(いずれも仮説)がある。自己免疫説では自己反応性T細胞が主要で、脱髄は自己免疫による破壊と考える。オリゴデンドログリオパチー説ではオリゴデンドロサイトの細胞死が主因となり脱髄が生じ、免疫反応は変性髄鞘を除去するために二次的に生じていると考える。多くのMS研究者が自己免疫説を支持していたが、オリゴデンドログリオパチー説の病理学的傍証が昨今提出され、MSの発病機序を巡って再び議論が生じている。
©Nankodo Co., Ltd., 2010