Japanese
English
今月の主題 注目されるサイトカイン
話題
内分泌器官としての脂肪組織とメタボリックシンドローム
Adipose tissue as an endocrine organ
津田 直人
1
,
菅波 孝祥
1
,
小川 佳宏
1
Naoto TSUDA
1
,
Takayoshi SUGANAMI
1
,
Yoshihiro OGAWA
1
1東京医科歯科大学難治疾患研究所分子代謝医学分野
キーワード:
脂肪細胞
,
マクロファージ
,
炎症性変化
,
アディポサイトカイン
Keyword:
脂肪細胞
,
マクロファージ
,
炎症性変化
,
アディポサイトカイン
pp.665-669
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102319
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1.はじめに
内臓脂肪型肥満を背景として発症するメタボリックシンドロームは高血糖や脂質代謝異常,高血圧を重複して有する病態である.近年,その基盤病態として全身の軽度の慢性炎症反応が注目されている.肥満は体脂肪が過剰に蓄積した状態であると定義され,脂肪組織では脂肪細胞の肥大化(中性脂肪蓄積量の増大)と脂肪細胞数の増加が認められる.一方,肥満の脂肪組織では脂肪細胞自身の変化のみならず,血管新生や細胞外基質の増加,マクロファージや好中球,Tリンパ球などの免疫担当細胞の浸潤が増加することが知られている(図1).そのような“脂肪組織リモデリング”とでもいうべきダイナミックな組織学的変化により引き起こされる炎症性変化は,アディポサイトカインの産生調節の破綻を引き起こしメタボリックシンドロームの病態形成に関与する.
本稿ではアディポサイトカイン産生調節破綻に大きな影響を及ぼす,脂肪細胞と免疫担当細胞の関係に焦点を当て概説したい.
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