Japanese
English
特集 体細胞モザイク――後天的ゲノム変化がもたらす未来
クローン性造血における遺伝子変異とコピー数異常の相互作用
The interplay of gene mutations and copy-number alterations in clonal hematopoiesis
佐伯 龍之介
1
,
小川 誠司
1,2,3
Ryunosuke SAIKI
1
,
Seishi OGAWA
1,2,3
1京都大学医学研究科腫瘍生物学(病理学第二講座)
2同ヒト生物学高等研究拠点(ASHBi)
3カロリンスカ研究所
キーワード:
クローン性造血(CH)
,
遺伝子変異
,
染色体コピー数異常(CNA)
,
血液腫瘍
,
心血管疾患
Keyword:
クローン性造血(CH)
,
遺伝子変異
,
染色体コピー数異常(CNA)
,
血液腫瘍
,
心血管疾患
pp.1208-1214
発行日 2022年6月25日
Published Date 2022/6/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu281131208
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
加齢に伴って出現する “クローン性造血(CH)” は,血液腫瘍の前駆病変としてでのみならず,心血管疾患などのリスクファクターとしても,近年注目が集まっている.CHを構成するゲノム異常として,遺伝子変異と染色体コピー数異常(CNA)が知られているが,両者の関係性や予後に与える影響については限定的な理解しか得られていなかった.筆者らは,CHにおける遺伝子変異とCNAの統合解析を実施することで,両者の特徴的な共存関係を明らかにした.特に,DNMT3A,TET2,TP53,JAK2などの遺伝子については,遺伝子変異とCNAが共存することで,ヘテロ接合性消失を起こしていた.さらに,両者の共存を認める症例では血液腫瘍・心血管疾患のリスクが著しく上昇しており,2種類の病変の協調的な効果が示唆された.今回の研究により,特にどのような人で発症リスクが高いか予測可能となり,今後のCHに関連する研究や臨床において重要な知見となることが予測される.
Copyright © 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.