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特集 体細胞モザイク――後天的ゲノム変化がもたらす未来
正常気管支上皮における体細胞変異
Somatic mutations in normal bronchial epithelium
吉田 健一
1
Kenichi YOSHIDA
1
1国立がん研究センター研究所がん進展研究分野
キーワード:
モザイク
,
気管支
,
体細胞変異
,
肺がん
,
喫煙
Keyword:
モザイク
,
気管支
,
体細胞変異
,
肺がん
,
喫煙
pp.1215-1219
発行日 2022年6月25日
Published Date 2022/6/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu281131215
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近年のゲノム解析により,正常細胞は受精卵の段階から継続して体細胞性の遺伝子変異を獲得しており,その結果,各組織がモザイク状態にあること,またドライバー変異の獲得に伴うクローン性増殖が起こり,発がんにつながっていることがわかってきた.正常な気管支上皮細胞においても,加齢に伴った変異の蓄積に加え,喫煙歴のある症例では喫煙によると考えられるシグネチャーを持った変異が増加していた.また,それに伴い肺がん発症につながると考えられるTP53などの遺伝子におけるドライバー変異も獲得されていることが明らかになった.一方,喫煙歴のある人,特に過去に喫煙歴のあった前喫煙者においては変異の数が正常に近い細胞も少なからず存在していることが明らかになり,喫煙などの環境因子によりダイナミックにクローン競合が起こっている可能性が考えられた.
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