Japanese
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TOPICS 呼吸器内科学
気道疾患モデルへの応用可能な多細胞間の平面内細胞極性を制御した気道チップの開発
Development of airway chip with controlled multicellular planar cell polarity for application to airway disease modeling
曽根 尚之
1
,
後藤 慎平
1,2
Naoyuki SONE
1
,
Shimpei GOTOH
1,2
1京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学
2同呼吸器疾患創薬講座
pp.848-849
発行日 2022年5月21日
Published Date 2022/5/21
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28108848
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肺は呼吸により外界から病原体や異物までも体内に取り込むため,線毛上皮細胞は上気道・下気道に侵入した病原体や異物を一方向性に除去するという重要な機能を担っている.しかし,その機能を発揮するためには線毛上皮細胞間での協調的な線毛運動が必要であり1),この機能が障害されると病原体や粘液が効率的に排泄されず気道の閉塞や繰り返す肺炎をきたす原因となる.線毛機能不全症候群は線毛運動の減弱や協調運動の消失といったさまざまな線毛機能異常に基づく遺伝性疾患だが,ゴールドスタンダードといえる診断法はなく,約30%の症例が未診断のままとされている.また,この疾患には有効な治療薬がなく,新規の診断法の開発だけでなく創薬の観点からも適切な病態を繰り返し再現できる疾患モデルが必要だと考えられている.しかし,ヒト多能性幹(iPS)細胞から気道上皮細胞への分化誘導法は報告されているが2),培養皿内で生体内と同様の一方向性の粘液線毛運動を再現することは難しく,この運動を調節するメカニズムをも反映されたヒト気道疾患モデルがなかった.
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