Japanese
English
特集 細胞の社会学─細胞間で繰り広げられる協調と競争
Ⅳ.細胞の競争と協調の数理モデル
上皮細胞の集団移動を可能にする細胞平面の運動と力学モデル
In vivo and in silico analyses reveal a novel mechanism for directional collective cell migration in epithelial morphogenesis
上地 浩之
1
,
倉永 英里奈
1
Uechi Hiroyuki
1
,
Kuranaga Erina
1
1理化学研究所多細胞システム形成研究センター組織形成ダイナミクス研究チーム
キーワード:
上皮集団細胞移動
,
左右非対称
,
細胞接着面つなぎ替え
,
バーテックスモデル
Keyword:
上皮集団細胞移動
,
左右非対称
,
細胞接着面つなぎ替え
,
バーテックスモデル
pp.163-167
発行日 2016年4月15日
Published Date 2016/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200425
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多細胞生物の発生では,一つの受精卵から様々な形態をした器官が形成される。細胞が増殖・分化し,形状を変え,移動しながら組織を形作る複雑な過程は,息をのむほどに美しく神秘的であると同時に,そのメカニズムを解き明かすうえでわれわれに困難な課題を突き付ける。顕微鏡技術の飛躍的な発達により,発生の様子や着目する細胞・分子の動態をライブイメージングで詳細に追跡できるようになった。更に近年では,複雑な発生現象の中で観察された要素を数理モデルに落とし込み,着目する現象に介在する個々の細胞の振る舞いや力学的作用を検証・予測するという,数理シミュレーションによる解析が汎用されるようになってきた。顕微鏡観察に数理モデルを用いた解析を組み合わせることで,個体解析だけでは困難であった,発生現象を構成する素過程のメカニズム解明が促進されることが期待される。本稿では,われわれの研究室がごく最近見いだした集団細胞移動の新しいメカニズムについて,数理モデルを用いた解析を交えながら紹介したい1)。
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