Japanese
English
特集 細胞の極性
細胞極性と細胞膜ドメイン
Cell polarity and plasma membrane domains
藤田 道也
1
Michiya Fujita
1
1浜松医科大学生化学第二講座
pp.189-196
発行日 1983年6月15日
Published Date 1983/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904522
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I.細胞の極性(cell polarity)
1)細胞の極性という概念
"細胞の極性"という用語ないし表現が厳密に定義されているかどうかはよくわからないが,それは外形だけの問題ではない。たとえば,完全な球形の細胞があったとする。これなど外から見るかぎり不対称がなく,この細胞には極性がないと言えるであろう。球状赤血球症の球状赤血球などがこれに当たるかもしれない。しかし,もしこの完全球形の細胞が有核細胞であって,その細胞質が細胞小器官の偏在などの不対称をもつならば,極性があることになる。もちろんこの場合小器官の偏在(同一小器官の1ヵ所集中など)が常在するのでなければならない。
このように,細胞の不対称(asymmetry)には細胞外形(cell shape)の不対称だけではなく,細胞質のそれ("極性細胞質"polar cytoplasmという言葉がある1))も問題になると考えられる2,3)。一般に,「細胞質に不対称があれば,細胞外形にも不対称がある」という命題が真実であれば,細胞の形の不対称が細胞質のそれと別個に存在するとする立場からの発言は不必要になる。
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