Japanese
English
TOPICS 皮膚科学
皮膚拡張時における増殖能の高い表皮幹細胞の出現には血管が重要である
Vasculature-driven stem cell population coordinates tissue scaling in dynamic skin
一條 遼
1
,
豊島 文子
1
Ryo ICHIJO
1
,
Fumiko TOYOSHIMA
1
1京都大学医生物学研究所生命システム研究部門組織恒常性システム分野
pp.846-847
発行日 2022年5月21日
Published Date 2022/5/21
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28108846
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皮膚は,身体の生理的変化や体形変化に応じてダイナミックに変化する臓器である1-3).このような生理的皮膚リモデリング機構は,皮膚組織を構成する細胞の多様性,不均一性,階層性,相互作用の時空間的な変化により誘導されると考えられる.しかし,それを担う多細胞ネットワークや制御機構は不明な点が多い.皮膚は表皮,真皮,皮下組織から形成され,表皮はさらに角質層,顆粒層,有棘層,基底層の4層に分類される.表皮基底層には表皮幹細胞が存在し,増殖と分化を繰り返すことで表皮の恒常性を維持する4).筆者らは以前,急速に拡張する妊娠期の腹部皮膚において,表皮幹細胞から増殖能の高いT-box3(Tbx3)陽性の表皮基底細胞が産生されることを見出し,この細胞群の出現には真皮のαSMA陽性Vimenin陽性細胞が分泌するSfrp1,Igfbp2などの液性シグナルが重要であることを報告した1).本稿では,筆者らが最近報告したTbx3陽性基底細胞の細胞運命と,その出現・維持における血管の重要性について概説する5).
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