最新基礎科学/知っておきたい
破骨細胞と骨芽細胞の極性
及川 司
1
1慶應義塾大学医学部総合医科学研究センター共同利用研究室
pp.330-334
発行日 2010年4月25日
Published Date 2010/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101709
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■はじめに
骨形成の場においては,細胞同士がダイナミックな相互作用により常に破壊と形成が行われている.例えば骨芽細胞は常に同じ方向に骨を作り続け,破骨細胞は骨と接する面にのみシーリングリングと呼ばれる線維状アクチンに富んだリング構造を形成し,この中でのみ酸や基質分解酵素を分泌することで骨基質を分解する.このように骨形成の場では空間認識という意味での極性制御が細胞の機能に直結し,非常に重要だと思われるが,細胞レベルでみた極性制御のメカニズムについては,まだ不明な点が多く残されている.本稿では極性の制御因子として細胞膜上のイノシトールリン脂質に注目し,主に破骨細胞の機能との関連について最新の知見とともに概説する.
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