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第5土曜特集 腫瘍免疫――免疫ネットワークから考える基礎と臨床
ネットワークの各因子と,その因子を応用or標的とした基礎研究の現在と可能性
【がん免疫ネットワークに影響を与える因子】
ネットワークにおける自然免疫の役割
-――NK, ILCs
Role of innate lymphocytes in cancer immunity network
早川 芳弘
1
Yoshihiro HAYAKAWA
1
1富山大学和漢医薬学総合研究所生体防御学領域
キーワード:
ナチュラルキラー(NK)細胞
,
自然リンパ球(ILC)
,
サイトカイン
,
転写因子
Keyword:
ナチュラルキラー(NK)細胞
,
自然リンパ球(ILC)
,
サイトカイン
,
転写因子
pp.388-394
発行日 2022年4月30日
Published Date 2022/4/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28105388
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獲得免疫が抗原・抗体特異的な認識機構を介したクローナルな免疫応答であるのに対し,自然免疫はパターン認識を基本としたポリクローナルな免疫応答である.がん細胞を取り巻く微小環境における複雑な免疫ネットワークの形成に,自然免疫に関わる自然リンパ球(ILC)も加わることが近年明らかになりつつある.これまでの研究からILCはキラーT細胞のような細胞傷害活性を持つILCであるナチュラルキラー(NK)細胞と,ヘルパーT細胞のようなヘルパー機能を持つILCであるヘルパー様ILC(ILC1,ILC2,IL3)に大別でき,これらILCと機能の類似性があるT細胞サブセットでは,それらの分化を制御する転写因子やサイトカイン,さらにはそれら分化制御転写因子により調節されるエフェクター分子の産生が対応していることが知られている.また,腫瘍微小環境を含めた炎症状態下では,これらILCサブセットの表現型や機能が変化する可能性も指摘されている.腫瘍免疫ネットワークの理解,さらには治療標的としての可能性を明らかにするためには,これらILCの特徴や機能,免疫応答における役割について理解することが重要となる.
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