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第5土曜特集 腫瘍免疫――免疫ネットワークから考える基礎と臨床
ネットワークの各因子と,その因子を応用or標的とした基礎研究の現在と可能性
【がん免疫ネットワークに影響を与える因子】
がん免疫ネットワークへの制御性T細胞の影響およびその治療応用
Impacts on tumor immune microenvironment by regulatory T cells and their applications for cancer immunotherapy
木谷 友次朗
1,2
,
坂口 志文
2
Yujiro KIDANI
1,2
,
Shimon SAKAGUCHI
2
1塩野義製薬株式会社医薬研究本部
2大阪大学免疫学フロンティア研究センター実験免疫学
キーワード:
制御性T細胞(Tregs)
,
免疫寛容
,
がん微小環境
Keyword:
制御性T細胞(Tregs)
,
免疫寛容
,
がん微小環境
pp.395-400
発行日 2022年4月30日
Published Date 2022/4/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28105395
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制御性T細胞(Tregs)は自己および非自己に対する免疫応答を制御する抑制性のT細胞であり,近年,その免疫恒常性維持に対してだけでなく,がん免疫抑制環境成立に対する寄与も明らかになってきた.がん微小環境においてTregsはさまざまな免疫担当細胞と相互作用しており,複数の機構を用いて直接的および間接的にがん免疫応答を抑制する.Tregsによるこの広範な抑制作用を解除すると,抗原提示細胞およびT細胞が活性化して抗腫瘍効果が得られるが,全身性のTregs機能抑制には自己免疫炎症発症の危険性もはらんでいるため,がん免疫応答抑制に関与するTregsのみを狙うことが望ましい.腫瘍局所でTregsを除去する技術の開発,腫瘍浸潤Tregs選択的なシグナリング経路や発現分子の同定によって,副作用を回避してTregsを標的とするがん免疫療法の臨床応用が現実的なものになってきた.
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