Japanese
English
第1土曜特集 自然リンパ球の生理と病理
感染防御に働き恒常性維持に重要な自然リンパ球
Innate lymphoid cells
――Important regulator of host defense and disease control
佐藤 尚子
1
Naoko SATOH-TAKAYAMA
1
1国立研究開発法人理化学研究所生命医科学研究センター粘膜システム研究チーム
キーワード:
3型自然リンパ球(ILC3)
,
粘膜バリア
,
細菌叢
,
自然リンパ球(ILC)
,
感染防御
Keyword:
3型自然リンパ球(ILC3)
,
粘膜バリア
,
細菌叢
,
自然リンパ球(ILC)
,
感染防御
pp.78-84
発行日 2024年1月6日
Published Date 2024/1/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2880178
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外来と常に接触している粘膜表面は,外来抗原による免疫応答の過剰反応を回避するため,末梢とは異なる独自の免疫応答により正と負の応答バランスを保ち,恒常性が維持されている.消化管などの粘膜組織におけるユニークな免疫反応について,近年,活発に研究が行われており,さまざまな疾患や感染時における免疫応答が明らかになってきた.これまで獲得免疫を担うT細胞やB細胞による細菌感染時の免疫応答について,ある程度メカニズムが明らかになってきたなかで,近年は自然免疫に分類される自然リンパ球(ILC)のさまざまな機能についても着目されている.ILCは主に呼吸器官や消化管などの粘膜組織,またはその近縁に多く存在することが知られている.粘膜組織に存在するILCは,共生細菌や病原性細菌に加え,食餌/食事由来抗原などさまざまな外来抗原に曝されており,感染防御だけではなく疾患制御などの恒常性維持を担っている.ILCが病原性細菌やこれら外来抗原に迅速に応答するだけでなく,他の免疫細胞をも調整することで粘膜防御に寄与していることも明らかになってきた.本稿では,主に細菌感染や疾患への関与における3型自然リンパ球(ILC3)の機能に特に焦点を当て,他のILCによる免疫応答も踏まえながら最近の知見を概説する.
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