Japanese
English
第5土曜特集 現代の臨床研究のための統計学2022――洗練された研究デザインと統計解析を理解してみよう
方法論の近年の発展
治療経過に応じて決まる治療方針の因果効果
Causal effects of dynamic treatment policies
篠崎 智大
1
Tomohiro SHINOZAKI
1
1東京理科大学工学部情報工学科
キーワード:
因果推論
,
繰り返し治療の効果
,
動的な治療方針
,
g-計算アルゴリズム
,
逆確率重み付け法
Keyword:
因果推論
,
繰り返し治療の効果
,
動的な治療方針
,
g-計算アルゴリズム
,
逆確率重み付け法
pp.508-516
発行日 2022年1月29日
Published Date 2022/1/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28005508
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
医学研究は人を対象として行われる研究(ときには実験)であり,疾患に対する治療効果や何らかの物質・状態への曝露効果の推測が目標となることが多い.そのために反事実に基づく比較が現代では受け入れられているが,長期にわたる追跡のなかで治療や曝露も変化するため,教科書的な “治療を受けた場合” と “受けなかった場合” との比較では現実を表すモデルとして不十分である.そこで,“治療を受け続けた場合” と “一度も受けなかった場合” という繰り返し治療の枠組みの利用が増えてきている.しかし現実には治療後に副作用が生じたり,治療後の経過に応じて二次・三次治療が導入されたりして,上記の “治療継続” と “無治療継続” の比較であっても現実の医学研究に用いるモデルとしては限界がある.本稿では,実臨床で想定されているような治療経過に適応的な “治療方針” の効果の考え方を示し,仮想的な観察研究データを用いて効果を数値的に例示する.
Copyright © 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.