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第5土曜特集 現代の臨床研究のための統計学2022――洗練された研究デザインと統計解析を理解してみよう
方法論の近年の発展
後治療の解析
-――RPSFTM
Adjusting for treatment switching
山口 拓洋
1
Takuhiro YAMAGUCHI
1
1東北大学大学院医学系研究科医学統計学分野
キーワード:
後治療
,
治療の切り替え
,
rank preserving structural failure time model(RPSFTM)
,
二次治療
,
生存期間解析
Keyword:
後治療
,
治療の切り替え
,
rank preserving structural failure time model(RPSFTM)
,
二次治療
,
生存期間解析
pp.492-496
発行日 2022年1月29日
Published Date 2022/1/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28005492
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米国における抗がん剤アバスチンの乳がんに対する適応削除(2011年11月に削除,わが国では2011年9月に承認)については,まだ記憶にあるであろうか.E2100試験,AVADO試験,RIBBON1試験など,承認時に評価された主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)で差が認められたものの,その後のデータにおいて全生存期間(OS)で差が認められなかった.Cortésらはクロスオーバーや後治療の影響をこれらの原因として指摘している1).昨今,抗がん剤の承認申請においては,PFSなどの代替エンドポイント(本特集・下川の稿参照)に基づく承認事例が増えているものの,OSを評価することは重要である2).しかし,増悪後に治療のクロスオーバーや後治療が実施されると,OSに対してその影響は否定できなくなる可能性がある.二次治療以降に有効な後治療が存在すれば,post-progression survival(PSS)が延長され,OSにおける群間差は縮まる可能性がある3).すなわち,PFSのOSに対する代替性は薄まる.PFSの改善が大きく優れたリスク/ベネフィットのプロファイルなら(さらに経済的に許容できるなら)PFSによる承認はありうるであろうが,これら治療のクロスオーバーや後治療の影響を考慮したうえで,治療法を比較する方法論はないのであろうか.
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