特集 患者報告型アウトカム ~患者の体験をケアに活かす~
【がん看護において患者報告型アウトカムとして使われる主なツール】
ePROと電子カルテ ~その連携と活用~
宮路 天平
1
,
川口 崇
2
,
山口 拓洋
3
Tempei MIYAJI
1
,
Takashi KAWAGUCHI
2
,
Takuhiro YAMAGUCHI
3
1東京大学大学院医学系研究科臨床試験データ管理学講座
2東京薬科大学 医療実務薬学教室
3東北大学大学院医学系研究科医学統計学分野
pp.636-638
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_636
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ePROとは?
ePROとは,electronic Patient-Reported Outcomeの略で,一般的に患者報告型アウトカム(Patient-Reported Outcome:PRO)の電子的な評価,収集方法およびそのシステムを指す用語として使われている.ePROを使用する用途は,大きく分けて2つある.
①臨床研究におけるアウトカム評価,データ収集
②日常臨床における症状モニタリングやQuality of Life(QOL)などの評価
これまで紙媒体の調査票を用いた運用がなされてきたが,まとめ書き,調査票の紛失など,データの信頼性確保のための課題があった.一方,ePROを用いる場合,システムの設定,デバイス(スマートフォンやタブレット端末など),インターネット環境の確保など,事前の準備に時間やコストがかかるものの,リアルタイムにデータが収集でき,評価者や評価時間も記録が残せるため,紙媒体による調査よりアドヒアランスが向上し,収集するデータの品質向上が期待されている1).
電子システムの利点として,紙媒体では実装できなかったePROの機能としては,
①評価日や期間をメールやテキストメッセージで伝えるリマインダー機能
②評価がなされた日時をシステム内に記録するタイムログ機能
③回答不要な設問を非表示,スキップさせる機能
④桁ずれなどの入力を制限する機能
⑤総合スコアなどの自動計算機能
などがあげられ2),これらの機能を有効に使うことで,質問票への回答率や回答の信頼性の担保が期待できる.
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