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特集 急性白血病と骨髄異形成症候群に対する分子標的治療
【総論】
分子標的薬開発の歴史と将来展望
Molecularly targeted therapy, from the past to the near future
細野 奈穂子
1
Naoko HOSONO
1
1福井大学医学部輸血部
キーワード:
分子標的治療薬
,
ヘッジホッグ阻害薬
,
イソクエン酸脱水素酵素(IDH)阻害薬
,
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害薬
,
二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体
Keyword:
分子標的治療薬
,
ヘッジホッグ阻害薬
,
イソクエン酸脱水素酵素(IDH)阻害薬
,
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害薬
,
二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体
pp.1092-1096
発行日 2021年9月25日
Published Date 2021/9/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu278131092
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白血病に対する分子標的薬は,近年めざましい進歩を遂げている.白血病発症に関与する遺伝子変異とその階層構造が明らかになるにつれ,変異遺伝子を標的とした低分子化合物の開発も格段の進歩を遂げており,米国ではヘッジホッグ阻害薬,変異型イソクエン酸脱水素酵素(IDH)阻害薬,経口メチル化阻害薬などが急性骨髄性白血病(AML)に対し承認が得られており,わが国での承認が待たれる状況である.TP53の再活性化薬やサイクリン依存性キナーゼなど,難治性の白血病に対する有望な薬剤の臨床試験も進行中である.また,抗体医薬品も開発当初は白血病腫瘍細胞のみに着目したものであったが,急性リンパ性白血病(ALL)における二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体の成功を皮切りに,白血病幹細胞を標的とした抗体医薬品,免疫寛容を抑制しマクロファージの貪食を誘導する抗体医薬品などの開発が進行中である.白血病治療は長らく殺細胞性抗腫瘍剤が治療の中心であったが,今,科学の発展とともに転換期を迎えつつある.
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