今月の臨床 ここまできた分子標的治療
分子標的治療の将来展望
前川 麻里
1
,
西尾 和人
1
1近畿大学医学部ゲノム生物学教室
pp.1289-1293
発行日 2007年10月10日
Published Date 2007/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101588
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はじめに
近年,多くの分子標的薬が開発されそのいくつかはすでに臨床の場に導入されている.分子標的薬は小分子化合物と大分子化合物(抗体など)の2種類に分類され,がん細胞の無秩序な増殖,浸潤,転移に関する分子を標的としている.また最近,多標的阻害薬も開発されてきており,多様性に富むようになるであろう.
一方,分子標的薬の臨床試験がはじまり,当初予想していたような生物学的至適投与量の決定は簡単ではなく,従来の細胞傷害性薬剤と同様の最大耐用量の決定により投与量が決められることも多く経験される.また,有害事象についても当初に想定もしていなかったような副作用の出現により,その予測のためのバイオマーカー研究が,特にわが国において重要であると認識されている.また,長期間にわたる投与例があり,その間に生じる獲得耐性は,細胞傷害性の耐性と同様に大きな臨床的課題になっていると考えられる(表1).
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