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第5土曜特集 生活習慣病の克服に向けたゲノム医療――ゲノム医科学の進展と精密医療の実現
各論
【消化器系】
生活習慣病としての大腸がん
-――コンセンサス分子分類とストレス応答
Colorectal cancer:its alteration of genetic and genomic pathways
北嶋 繁孝
1
Shigetaka KITAJIMA
1
1東京医科歯科大学難治疾患研究所ゲノム応用医学遺伝生化学,現・光恵会光山医院山口
キーワード:
CMS(consensus molecular subtypes)
,
ゲノム変異
,
遺伝子発現パスウェイ
,
トランスクリプトーム
,
ストレス応答ハブ
,
ATF3
Keyword:
CMS(consensus molecular subtypes)
,
ゲノム変異
,
遺伝子発現パスウェイ
,
トランスクリプトーム
,
ストレス応答ハブ
,
ATF3
pp.425-433
発行日 2021年7月31日
Published Date 2021/7/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27805425
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大腸がんは遺伝子変異が複数重なることによって生じるが,その発症については家族性大腸腺腫症の腺腫-がん腫モデルが代表的である.しかし,大腸がんの80%以上を含むde novoがんについては,がんドライバー遺伝子の変異だけでは,がんの生物学的特性との相関を見出すことはできなかった.これに対し,米国がんゲノムアトラス(TCGA)ネットワーク,および米国と欧州のコンソーシアムは,ゲノム変異の一次情報に,遺伝子発現パスウェイ解析を統合・比較した結果,はじめて大腸がんの生物学的特性と患者転帰の相関も評価可能な4つのサブタイプを提唱した.一方,生活習慣病としての大腸がんは,腸内環境やがん細胞のストレス応答が深く関与していると思われる.大腸がん関連遺伝子の近傍で働くストレス応答のハブ転写因子ATF3に焦点を当てた筆者らの研究成果を紹介し,生活習慣ゲノムの実装化に向けた一助としたい.
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