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第5土曜特集 生活習慣病の克服に向けたゲノム医療――ゲノム医科学の進展と精密医療の実現
各論
【消化器系】
アルコール関連肝疾患の遺伝的背景・エピゲノム制御とメタゲノム解析
Genetics, epigenetic regulation and metagenomic approach of alcohol-associated liver disease
池嶋 健一
1
Kenichi IKEJIMA
1
1順天堂大学大学院医学研究科消化器内科学
キーワード:
アルコール関連肝疾患(ALD)
,
遺伝子多型
,
エピゲノム
,
マイクロRNA
,
メタゲノム
Keyword:
アルコール関連肝疾患(ALD)
,
遺伝子多型
,
エピゲノム
,
マイクロRNA
,
メタゲノム
pp.434-438
発行日 2021年7月31日
Published Date 2021/7/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27805434
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アルコール関連肝疾患(ALD)は過剰飲酒の継続によって惹起される肝臓病で,進行すると肝硬変に至り肝細胞癌(HCC)の発症母地にもなるが,過剰飲酒者のすべてが進行性の肝病変を生じるわけではなく,その病態進展はさまざまな背景因子により規定されている.近年のゲノムワイド関連解析(GWAS)では,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と同様に脂質代謝関連分子であるPNPLA3,TM6SF2およびHSD17B13に加え,FAF2などの遺伝子多型が発症および病態進展に関与していることが明らかにされている.一方,エピゲノム制御の関与も多く報告されており,マクロファージからの炎症性サイトカイン産生の制御や腸管透過性に関与するマイクロRNA(miRNA)や,酸化ストレス応答に関わるNrf2,ヒストンアセチル化が病態進展に関連していることが明らかにされている.さらに,腸内微生物に対するメタゲノム解析は,腸肝相関を介したALD病態解明を飛躍的に進歩させつつある.これらのゲノム・エピゲノム情報は,ALDの病態把握に有用であるのみならず,予防・治療戦略の確立に寄与することが期待される.
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