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第5土曜特集 生活習慣病の克服に向けたゲノム医療――ゲノム医科学の進展と精密医療の実現
各論
【循環器疾患】
大動脈および末梢動脈疾患における遺伝学的素因
Genetics of aortic and peripheral arterial diseases
柳生 剛
1
,
野口 暉夫
1
Takeshi YAGYU
1
,
Teruo NOGUCHI
1
1国立循環器病研究センター心臓血管内科部門,ゲノム医療部門
キーワード:
大動脈瘤
,
末梢動脈疾患(PAD)
,
閉塞性動脈硬化症(ASO)
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
Keyword:
大動脈瘤
,
末梢動脈疾患(PAD)
,
閉塞性動脈硬化症(ASO)
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
pp.419-423
発行日 2021年7月31日
Published Date 2021/7/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27805419
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家族性胸部大動脈瘤においてはこれまで原因遺伝子が複数みつかっているが,孤発例においても,それら原因遺伝子の意義不明低頻度variantや近傍のcommon variantが疾患頻度に関係していることがわかってきた.明らかな原因遺伝子が認められていない腹部大動脈瘤や閉塞性動脈硬化症(ASO)においては,ゲノムワイド関連解析(GWAS)により多くの関連variantが同定されている.それらには冠動脈や脳動脈など他の動脈疾患と共通するものと,その疾患特有のものとがある.また,これまでの大規模GWAS研究の多くが欧米からの報告だが,日本人を対象とした研究では欧米からの報告では認めない関連variantも確認されており,疾患における人種差に関連しているかもしれない.これらの解析から得られた知見をもとに,動脈疾患の基盤となる病態や疾患特異的な病態の解明,さらには新たな治療ターゲットの開発やprecision medicineの推進が期待される.
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