骨軟部組織感染症治療の歴史的変遷—Overview

A Historical Overview of the Treatment for Bone and Soft Tissue Infections

人類と骨軟部組織感染症の闘いの歴史は古く，古代エジプト時代から資料が残されている．死亡率が高く，死と直面する病態であったことが容易に想像されるが，当時から既に軟部組織被覆の重要性が示されていた．以降，長きにわたり骨軟部組織感染症の治療に大きな変革は起こっていなかったが，1940年代の抗菌薬の登場により，骨軟部組織感染症は死に直面する病態から脱却することとなる．以降，手術手技の向上，全身抗菌薬投与レジメンのbrush up，局所抗菌薬療法の発展により，感染症の高い鎮静化率，高い機能予後の獲得が可能な時代となってきている．