寝たきり老人の訪問看護
‘当たり前のこと’からの出発
島田 妙子
1
1東京白十字病院
pp.100-101
発行日 1976年1月1日
Published Date 1976/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917799
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家庭の中の老人の位置
戦後30年,人々の暮らしから,目に映る景色,環境まで随分変わったように思う.この変化を意識しながら,自分を見失わず変化しつつある情勢を確実にとらえ,あるべき姿を指向できればよいと思うが,それができる人は少ない.多くの場合,自分の経験に照らして是非の判断が出る.‘経験’という辞書に記載されていない新しいことは,知らず知らずのうちに正当な理由をつけて和らかく拒否してしまう.しかしだれか勇気ある人が一歩踏み出してみると,当たり前のこととして認識されたり,拒否した人も昔から賛成だったと協力してくれることが多い.
人生経験,社会経験について,看護婦よりも数倍も勝っている老人を対象としたり,24時間1日じゅう,体の自由の効かない有病老人の介護に明け暮れている家族に対して,その家庭をよりよい方向に向けて看護ケアを提供する‘寝たきり老人の訪問看護’は,当たり前のことを当たり前にしていく作業の連続である.
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