Japanese
English
特集 口腔と全身疾患研究の最前線
齲蝕原性細菌の引き起こす循環器疾患
Cardiovascular diseases caused by cariogenic bacteria
野村 良太
1
,
仲野 和彦
1
Ryota NOMURA
1
,
Kazuhiko NAKANO
1
1大阪大学大学院歯学研究科口腔分子感染制御学講座(小児歯科学教室)
キーワード:
Streptococcus mutans(S. mutans)
,
コラーゲン結合タンパク
,
感染性心内膜炎
,
脳血管疾患
Keyword:
Streptococcus mutans(S. mutans)
,
コラーゲン結合タンパク
,
感染性心内膜炎
,
脳血管疾患
pp.1031-1036
発行日 2021年6月19日
Published Date 2021/6/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu277121031
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侵襲を伴う歯科処置や日々のブラッシング,放置された齲蝕や歯周病などが原因で口腔内に出血が生じると,口腔細菌は血液中に侵入して全身をめぐる.主要な齲蝕原性細菌であるStreptococcus mutans(S. mutans)のうち菌体表層にコラーゲン結合タンパクを発現している菌株は,何らかの原因で傷害を受けた心臓弁に付着して血液成分とともに疣腫(ゆうしゅ)とよばれる細菌塊を形成しやすく,感染性心内膜炎の発症において高いリスクになると考えられている.また,コラーゲン結合タンパク陽性S. mutansが脳血管の傷害部位に付着した場合には,血小板凝集による止血が阻害されることにより出血が持続し,脳出血の悪化に関わる可能性があることが示されている.さらにコラーゲン結合タンパク陽性S. mutansは,脳出血の潜在的リスク因子のひとつとして近年注目されている微小脳出血の出現にも関与することが明らかになってきている.
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