Japanese
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特集 口腔と全身疾患研究の最前線
口腔細菌叢解析の臨床意義とその手法
Analysis of oral microbiota and its clinical significance
山下 喜久
1
Yoshihisa YAMASHITA
1
1九州大学大学院歯学研究院口腔予防医学分野
キーワード:
口腔細菌叢
,
メタゲノム解析
,
アンプリコン解析
,
分子疫学
Keyword:
口腔細菌叢
,
メタゲノム解析
,
アンプリコン解析
,
分子疫学
pp.1011-1016
発行日 2021年6月19日
Published Date 2021/6/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu277121011
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歯と口腔上皮組織との結合部は,腸管や肺胞の上皮に次いで細菌の侵入に対して脆弱な部位である.加えて,歯根が顎骨内に深く骨植している解剖学的構造から,口腔常在細菌叢が口腔にとどまらず全身の健康にも少なからず影響を及ぼす可能性が高い.これまでは口腔常在細菌叢の総合的な病原性という概念からの病因論の解明はほとんどみられなかったが,次世代シーケンサーの飛躍的な技術進歩によって,多くの研究者が口腔常在細菌叢の解析に着手するようになってきた.筆者らの研究室でも,2,000名を超す地域住民の16S rRNA遺伝子のアンプリコン解析による口腔細菌叢の網羅的解析を用いた分子疫学を行った結果,その細菌叢構成を2つのタイプに大別できた.タイプ1はStreptococcus salivariusやVeillonella atypicaなどの菌種で,タイプ2はNeisseria flavescensやPorphyromonas pasteriなどで特徴付けられていた.口腔や全身の健康に関連する因子とのこれらの細菌叢との関係を分析した結果,タイプ1の者はタイプ2の者に比較してより口腔ならびに全身からみて不健康な状況にあった.
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