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第5土曜特集 超高齢社会を支える医学・医療の提案
基礎老化研究
老化制御機構の新展開
-――慢性炎症除去やセノリシス
New perspective based on senescence biology
近藤 祥司
1
Hiroshi KONDOH
1
1京都大学医学部附属病院高齢者医療ユニット
キーワード:
テロメア
,
ニコチナアイドモノヌクレオチド(NMN)
,
セノリシス
,
慢性炎症
,
細胞老化関連分泌形質(SASP)
Keyword:
テロメア
,
ニコチナアイドモノヌクレオチド(NMN)
,
セノリシス
,
慢性炎症
,
細胞老化関連分泌形質(SASP)
pp.352-355
発行日 2021年10月30日
Published Date 2021/10/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27905352
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近年,基礎老化研究の進展により,従来の老化の基本概念である “非可逆性” や “有害性” が見直されつつある.老化の再定義の必要性とともに,老化制御の可能性が指摘される所以である.たとえば,テロメア長計測技術により老化度に対する生活習慣改善の重要性が確認された(テロメア・エフェクト).あるいはカロリー制限仮説に端を発し,NADの前駆体物質であるニコチナアイドモノヌクレオチド(NMN)の健康効果が注目を浴びている.さらに細胞老化の両面性の発見により,老化細胞からの炎症性サイトカイン分泌が細胞老化関連分泌形質(SASP)を介して慢性炎症の原因となることが判明した.その結果,加齢性疾患の新規治療法の可能性として,慢性炎症除去薬(抗IL-1抗体薬)や,老化細胞除去薬(セノリシス,抗Bcl-2阻害薬)が見出された.本稿では,かつては夢物語であった老化制御の可能性について概説する.
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