Japanese
English
特集 ストレス応答の分子メカニズム――最新知見と臨床応用への展望
ストレスによる細胞老化誘導と疾患
Stress-induced cellular senescence and diseases
銭 江浩
1,2
,
山内 翔太
2
,
高橋 暁子
2,3
Jianghao QIAN
1,2
,
Shota YAMAUCHI
2
,
Akiko TAKAHASHI
2,3
1東北大学加齢医学研究所分子腫瘍学研究分野
2がん研究会がん研究所細胞老化研究部
3同NEXT-Gankenプログラム
キーワード:
細胞老化
,
DNA損傷
,
SASP
,
加齢性疾患
Keyword:
細胞老化
,
DNA損傷
,
SASP
,
加齢性疾患
pp.605-609
発行日 2025年5月17日
Published Date 2025/5/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293070605
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細胞は,内因性および外因性のさまざまなストレスに対して,多様なシグナル経路を活性化して恒常性の維持を図るが,ストレスによる修復不可能なDNA損傷に対しては,アポトーシスや細胞老化といった運命を選択する.細胞老化はストレスに応じて細胞周期が不可逆的に停止する現象であり,がん変異細胞の増殖を防ぐ重要な腫瘍抑制機構として知られている.しかし,加齢や肥満などのさまざまなストレスにより体内に老化細胞が蓄積すると,SASP因子とよばれる炎症性タンパク質群を分泌し,慢性炎症を起因とする加齢性疾患の発症・進展を促進することが明らかになっている.本稿では,ストレスによる細胞老化誘導の分子メカニズム,および老化細胞がSASPを介して疾患の発症・進展に与える影響を概説するとともに,老化細胞やSASPを標的とした加齢性疾患の予防・治療の可能性について論じる.

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