Japanese
English
第5土曜特集 超高齢社会を支える医学・医療の提案
基礎老化研究
SASPによる疾病発症メカニズム
Roles of senescence-associated secretory phenotype in aging-associated diseases
川口 耕一郎
1
,
杉本 昌隆
1
Koichiro KAWAGUCHI
1
,
Masataka SUGIMOTO
1
1国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
キーワード:
細胞老化
,
細胞老化関連分泌形質(SASP)
,
セノリティック
,
セノモルフィック
Keyword:
細胞老化
,
細胞老化関連分泌形質(SASP)
,
セノリティック
,
セノモルフィック
pp.374-377
発行日 2021年10月30日
Published Date 2021/10/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27905374
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
細胞老化を起こした細胞はさまざまな生理活性物質を細胞外に分泌する表現型を示す.このような老化細胞特異的な分泌表現型は細胞老化関連分泌形質(SASP)とよばれている.SASPを構成する因子は多種多様で,その機能も細胞の遺伝的背景や周辺環境などに依存してきわめて多岐にわたる.SASPは組織恒常性の維持にとって必要不可欠な “正” の作用をもつ一方で,過剰なSASPは慢性炎症を惹起し,さまざまな加齢性疾患の発症や病態悪化に関与する “負” の作用があることがわかっている.細胞老化やSASPが組織老化・個体老化をもたらす重要なメカニズムであることが明らかとなってきたことから,SASPの詳細な分子機構の解明と,それに基づくSASPの “負” の側面を標的とした薬剤の開発は,さまざまな加齢性疾患の治療や予防につながる可能性を秘めている.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.