Japanese
English
第5土曜特集 細胞死のすべて――そのメカニズムと,生命現象・疾患との関わり
さまざまな細胞機能と細胞死
治療ターゲットとしての細胞老化とその機能
Targeting cellular senescence and its functions
成田 匡志
1
Masashi NARITA
1
1Cancer Research UK Cambridge Institute, University of Cambridge
1Cancer Research UK Cambridge Institute, University of Cambridge
キーワード:
細胞老化
,
細胞死
,
セノリティックス
,
SASP(senescence-associated secretory phenotype)
Keyword:
細胞老化
,
細胞死
,
セノリティックス
,
SASP(senescence-associated secretory phenotype)
pp.409-414
発行日 2022年10月29日
Published Date 2022/10/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28305409
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細胞老化はさまざまな刺激により誘導される過程であり,特徴的な形態的変化と持続的な増殖停止を伴う.正常細胞は一般に,外部からの増殖シグナルの欠如や周りの細胞との接触刺激によって,細胞周期停止状態(quiescence)に陥る.これは可逆的な変化であり,“非可逆的” 細胞周期停止とされる細胞老化とは区別される.この細胞老化の “静的” な特徴に加え,“動的” な側面が注目を集めている.老化細胞は周囲との活発なコミュニケーションを通して,組織微小環境に影響を与える.また,このコミュニケーションによる二次的細胞老化も報告されている.老化細胞は増殖こそしないが,分泌因子や細胞接触により局所における細胞老化誘導シグナルを増幅することがある.さらに老化細胞の活動が持続することで,組織・個体に悪影響を及ぼすことが明らかになっており,細胞老化標的医療ががんを含む多様な慢性疾患において注目されている.
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