Japanese
English
第1土曜特集 脳・神経系の感染症――診断と治療の最前線
脳・神経系のウイルス感染症
インフルエンザ脳症
Influenza-associated encephalopathy
奥村 彰久
1
Akihisa OKUMURA
1
1愛知医科大学医学部小児科
キーワード:
インフルエンザ
,
急性壊死性脳症(ANE)
,
可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症(MERS)
,
痙攣重積型二相性脳症(AESD)
Keyword:
インフルエンザ
,
急性壊死性脳症(ANE)
,
可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症(MERS)
,
痙攣重積型二相性脳症(AESD)
pp.55-62
発行日 2021年4月3日
Published Date 2021/4/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2770155
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インフルエンザ脳症は,インフルエンザに伴って急性に発症する意識障害を主たる症状とする症候群である.主な病型としては,急性壊死性脳症(ANE),可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症(MERS),痙攣重積型二相性脳症(AESD)があげられる.ANEでは全身性炎症反応が,AESDでは興奮毒性が関与すると考えられている.診断には神経症状の評価が最も重要で,頭部MRIや脳波も有用である.治療では全身状態の管理が重要でその安定化を十分に行ったうえで,特異的治療を施行する.特異的治療としてはメチルプレドニゾロンパルス療法やガンマグロブリン大量療法が行われるが,現時点ではその有効性のエビデンスは確立していない.現在では死亡率は10%未満と低下しているが,AESDやANEでは予後不良な症例もまれではない.
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