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第1土曜特集 脳・神経系の感染症――診断と治療の最前線
脳・神経系のウイルス感染症
水痘帯状疱疹ウイルス感染症
Varicella-zoster virus infection
吉川 哲史
1
Tetsushi YOSHIKAWA
1
1藤田医科大学医学部小児科学
キーワード:
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)
,
神経合併症
,
脳梗塞
,
帯状疱疹
,
ワクチン
Keyword:
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)
,
神経合併症
,
脳梗塞
,
帯状疱疹
,
ワクチン
pp.50-54
発行日 2021年4月3日
Published Date 2021/4/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2770150
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水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)は初感染で水痘を起こし,その後,脊髄後根神経節などに潜伏感染し宿主の加齢,免疫抑制,ストレスなどに伴い再活性化し帯状疱疹を起こす.VZV初感染時,再活性化時には急性小脳失調症,髄膜炎,脳炎,脊髄炎など,さまざまな神経合併症を起こしうる.さらに,VZVは知覚神経を逆行して血管壁外膜に到達し,局所で炎症反応を惹起することで血管炎を起こし,それにより脳梗塞の原因となることも示唆されている.水痘ワクチン定期接種化に伴い水痘患者数は減少したが,それに伴うナチュラルブースター効果の減衰により,VZV既感染者の水痘特異的細胞性免疫能の減衰速度が速くなり,帯状疱疹患者の増加,若年化が懸念されている.帯状疱疹患者の増加は,帯状疱疹後神経痛(PHN)だけでなくウイルス再活性化に伴うさまざまな神経合併症の増加にもつながる.よって,今後ワクチンによる帯状疱疹予防の重要性が増すと考えられる.
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