FORUM パリから見えるこの世界・Vol.99
プラトンの『テアイテトス』,あるいは「真に知る」ということ
矢倉 英隆
1
Hidetaka YAKURA
1
1サイファイ研究所ISHE代表
pp.1085-1088
発行日 2021年3月13日
Published Date 2021/3/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu276111085
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COVID-19(新型コロナウイルス感染症)パンデミックの中,すべての予定が狂った2020年が終わり,先が見通せない2021年が始まった.我々はそれでも歩みを続けなければならない.しかし,そもそも生きるとはそういうことだったということに改めて気付かされたこの1年であった.と同時に,一つの現象について「知る」ということの意味を考えさせられることにもなった.プラトン(Plato, 427 BC-347 BC)の対話篇に知識(エピステメ)をテーマにした『テアイテトス』(田中美知太郎訳,岩波書店,2014)がある.そこでは知るということの定義が検討されている.知識に限らず,「…とは何か」という問いは必然的に本質への思考を呼び込む.今回は,この対話篇を読みながら,知識(それは科学にも繋がるのだが)の本質という大問題についての問い掛けを始めることにしたい.
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